日本語教育史研究会
The society for Historical Study
on Japanese Language Education
2024年度研究発表会のお知らせ
2024年11月15日
日本語教育史研究会運営委員会
時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。日本語教育史研究会2024年度研究発表会を下記の要領で開催いたします。多数のみなさまのご参加をお待ちしております。
日時:2024年12月21日(土)12:30〜17:40
開催方法:Zoomによるオンライン開催(申込者に12月19日(木)までにZoomリンクを発送)
申込:下記のGoogleフォームから必要事項をご記入ください。
https://forms.gle/iaedoRJEzpHgSn2R7
会員以外の方のご参加歓迎!参加費は無料です。
フライヤー (pdf版)
プログラム (pdf版)
12:30~12:50 総会
13:00~13:05 挨拶
小川 誉子美(横浜国立大学・日本語教育史研究会会長)
13:05~13:35 研究発表1
改めて「近代日本語教育史」はなぜ必要か
泉 史生(フリーランス)
筆者は日本語教師養成講座で「日本語教育史」を講義するとき、時代区分から始めるが、現在の区分は、どのような定義で区分されているのか困った。区分の共通認識もなく登録日本語教師の試験等の出題者と意見が違っていた場合、試験の正解が正しいのであろうか。
このような経緯から改めて日本語教育史の共通認識としての時代区分の定義を見直し、日本語教育史研究会としても議論し直し、検討していただきたく思う。
13:35~14:05 研究発表2
サハリン州の大学における日本語教育史―開設期前後に受講した学生のインタビューをもとに―
竹口 智之(兵庫教育大学)
本研究は1980 年代後半に開始されたロシアのサハリン州における日本語教育史を明らかにしたものである。ユジノサハリンスク市 Y 大学で日本語を学んでいた調査協力者学習者 5 名を対象にインタビューし、彼らの言語学習とアイデンティティの関連を探っている。複線径路等至性アプローチによって分析した結果、サハリン州における日本語教育は、戦前と戦後の連続性を考察する必要性があることがわかった。
14:05~14:35 研究発表3
ブロック・ペーパーズから読み解くブロックと日本語との関わり
村田 道明 (法政大学)
言語学者バーナード・ブロックは太平洋戦争中に日本語を教えるかたわら日本語の教科書も執筆し、戦後は日本語研究に関する論文を何本か発表している。だが、実はブロックが日本語に関わった期間はそれほど長くはない。本発表では、ブロックはいつどこで、どのように日本語を学んだのか、戦時中どのような仕事をしていたのか、なぜ日本語研究から離れてしまったのか等を、イェール大学に残るブロックの書簡から読み解いていく。
14:35~15:05 研究発表4
ハワイにおける日本語学校―1910年創立マノア日本語学校を中心に
川上 尚恵(神戸大学)
1886 年ハワイに日本からの最初の移民が到着し、その後子弟のための日本語学校が多く作られた。その中のいくつかは現在までも続いているが、その歴史については『ハワイ日本語学校教育史』(1972)以降あまり知られていない。本発表では 1910 年から現在まで続くマノア日本語学校の歴史を中心としながら、ハワイ大学所蔵資料や日本語学校関係者へのインタビューなどを通し、ハワイの日本語学校の変遷について考察する。
15:05~15:15 休憩
15:15~15:45 研究発表5
戦時下のコタバルにおける日本語教育とシンゴラ領事館調査での課題
山口 雅代 (東京福祉大学)
2024 年 7・8 月のマレーシア・コタバルとタイ・ソンクラーでの調査報告である。1943 年 7月タイへの割譲後、Ismail English School(IES)にコタバル日本語学校が置かれ、タイ暦が使われていた。ソンクラーでは、諜報工作を担ったシンゴラ領事館は残っていないが、もう一方の諜報工作を行っていた瀬戸医師の「回生病院」の建物は残っていた。1 万人上陸した日本軍は、タイ人労働者を使っていた。
15:45~16:15 研究発表6
地域日本語教育の歴史的展開と政策の変遷
東平 福美(東京大学 非常勤講師)
本研究は、地域日本語教育の歴史的展開と政策の変遷を考察する。外国人の増加に伴う地域日本語教育の重要性を指摘し、その多面的機能を分析する。また、日本語ボランティア活動の社会的・政策的背景を明らかにし、多文化共生や地域活性化への貢献を論じる。さらに、 2019 年の 「日本語教育の推進に関する法律」を含む関連法規や政策の変遷を整理し、地域日本語教育の今後の方向性を示唆する。
16:15~16:45 研究発表7
カンボジアにおける日本語教育の変遷と今後の展望
細井 駿吾(東京国際大学)
カンボジアは、フランス植民地時代や外国からの経済支援を受けてきた歴史的背景から、外国語学習の重要性が高い国である。また、近年、在日カンボジア人が大幅に増加していることから、カンボジアに焦点を当てた日本語教育の研究の必要性が高まっているが、依然として不足している。 本発表では、カンボジアにおける外国語教育の位置づけ及び日本語教育の変遷と現状を概観した上で、今後の展望について述べる。
16:45~16:55 休憩
ライトニングトーク
◆趣旨説明
ライトニングトーク(Lightning Talks)とは、工学系学会やフォーラムなどで行われている短いプレゼンテーション(持ち時間5分)のことです。「こんな資料(資料館)を見つけました。」「最近こんな論文を読みました(書きました)。」「〇〇(地域・時代等)の日本語教育の歴史、面白いですよ。」「研究に役立ちそうなアプリ見つけました。」など、ざっくばらんに情報交換・意見交換をする場です。各5分の発表のあと、ブレイクアウトルームに分かれて、30分ほどそれぞれの発表者を中心に意見交換していただきます。
16:55~17:00 ライトニングトーク1
トルクメニスタンにおける日本語教育の拡大 -急増する日本語学習者とその課題-
勝 成仁(国際交流基金トルクメニスタン派遣 日本語指導助手)
トルクメニスタンでは、2015 年の安倍元総理大臣の来訪を契機に、日本語教育が急速に拡大した。2016 年から国際交流基金の日本語専門家派遣も始まった。国際交流基金によると、学習者数が 2015 年の 49 人から 2021 年に8865 人になるなど、中等教育機関を中心に増えている。一方で、教師不足など様々な課題も抱えている。本発表では、まだ始まったばかりと言えるトル
クメニスタンの日本語教育の変遷と現状を述べる。
17:00~17:05 ライトニングトーク2
ヨーロッパ日本語教育事情(2019年-2024 年)
後藤 加奈子(リエージュ大学 ベルギー)
本トークでは、パンデミック到来直前から直近の 2024 年までのヨーロッパでの日本語教育事情を、おもにヨーロッパ日本語教師会の活動を振り返りながら概観する。シンポジウムのテーマおよび基調講演、参加者の発表内容の推移に加え、ヨーロッパ教師会が公認するリサーチ・グループ が展開するプロジェクトなども簡単に紹介できればと思う。
17:05~17:10 ライトニングトーク3
日本語の言語変種―宜蘭クレオールと中国の言語変種の比較―
瀋 沢羽・黄 范航(横浜国立大学大学院生)
宜蘭クレオールは、台湾東部の宜蘭県でアタヤル語、セデック語と日本語の接触によって形成された言語変種である。本発表では、既存の研究成果を整理したうえで、宜蘭クレオールの形成背景、文法特性、および地域社会における機能を概観する。また、同じく中国の言語変種、ピジンである広東ピジンや上海ピジンとの比較を通じて、東アジアにおける言語接触と新しい言語変種の形成に関する洞察を提供する。
17:10~17:40 ブレイクアウトルームでの意見交換
ブレイクアウトルームでの意見交換後にZoomによる懇親会を予定しています。
ご参加希望の方は研究発表会のZoomにそのままご参加ください。
お問い合わせは nihongokyoikushikenkyukai(at)gmail.com まで
※(at)は@に置き換えてください。